ギフト-NOVEL9
それから時は流れ……。
僕は両親と一緒にドライブを楽しんでいた。
もちろん、完全とは言えないが病弱なことに変わりはないので、運転は父親がしている。
「あの丘に行きたい。」
「なんだって?」
僕は無意識のうちに言葉を呟いていた。
「僕がまだ小さかった頃に行った、あの丘に行きたいんだ。」
「……わかった。」
父親は何も言わず、母親も黙ったまま、僕は車の中から見える景色を見ていた。
小さい頃に遊んでいた丘、ここに来るのは何年振りだろう……。
「少し、一人にさせてくれる……?」
「あぁ、一時間ぐらい経ったら迎えに来るから。」
「ありがとう。」
「気を付けてね……。」
「うん。」
車に乗ってどこかへ向かう両親を見送った後、僕は久しぶりに来る丘に向かって歩き出した。
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