NOVEL

ギフト


文字サイズ:





 まだわたしが小さかった頃のお話。
 近所に住んでいた子と一緒に、小さな丘の上に遊びに行ったの。
「走ることはできないから。」
 そう言っていつもスケッチブックに絵を描いてた。
 それでわたしは
「じゃあ違う遊びをしようよ。」
 一緒に遊んで楽しみたかったから誘ったんだ。
 そしたらその子
「じゃあ四葉のクローバーを見つけよう。」
 ちゃんと返事を返してくれた。

 わたしは頑張って探そうとしたけどいつも見つけれなかった。
 その子は四葉のクローバーを探すのが得意らしくて何個も見つけた。
「どうしてそんなに見つけることができるの?」
 わたしが聞いたら
「幸せになりたいんだよ。」
 ってその子は言った。
 その時の顔はどこか寂しそうに見えたから、わたしは作ってた花輪をその子にあげたの。
 驚いた顔でわたしを見ていたその子に
「花輪を作るのはわたしの方が得意だからね!」
 って笑顔で返したんだ。

 いつの間にかお日様が沈んで綺麗な夕空になってた。
 その時、突然その子は
「しばらく会えなくなると思う。」
 って言ったの。
 どうしてって聞いても教えてくれなかった。
 だからわたしは
「それなら約束をしよ?」
 って言って、その子と指切りしたんだ。

 それは同時に、わたしたちの夢になったんだ。

 笑いながら「わたしたち、いつの日かまた出逢えるよね!」って。

 それ以来、わたしはその子に会うことはなかった。

 すごく寂しかったけど、あの子も寂しい思いをしてるって思ったら、我慢できた。

 それに約束したんだもん、また会おうって。

 それから、時は流れ……。




1 / 2 / 3 /4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12

powered by Quick Homepage Maker 4.81
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional